音楽番組を観て思うこと|善悪二元論

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1) きっかけの話
先日、ボーッと録りためたテレビ番組を観ているときに感じたことです。
30年以上続いている音楽番組を観ていたのですが、「ハモりたい曲特集」という内容を放送していました。人気の爽やか系、癒やし系ミュージシャンが登場してパフォーマンスを披露してくれたのですが、なぜか、ワタシのココロに土足でズカズカと入ってくるような感覚は無いわけです。これはなんなのだろうという気持ちを観察してみました。

「もっと人間臭さが欲しい」。「幸福」、「喜び」、「成功」、「栄光」、「勝利」のようなポジティブワードがインチキ臭くさえ感じられる。むしろ、「苦悩」、「貧困」、「飢餓」、「挫折」といったネガティブでドロドロした世界観から生まれてきたような作品のほうが、等身大の人間らしさが感じられて、心に響く気がしてくる。おそらくかなりの方が意識・無意識を問わず感じていることなのだろうと思うのですが、敢えて言語化してみるとこんな具合です。ふと先日読了した、池上彰さんの著書を思い出しました。

2) 参考図書

■池上彰「日本の戦後を知るための12人」

この書籍は、有名なYouTuber芸人が、自分の動画の参考図書としてあげておられたので、面白そうで読んでみました。田中角栄という人間を知らないで育ってしまったので改めて勉強したいと思ったのがきっかけです。著書は、どこかの一般の方向けに講義を開催された内容を書籍化したもののようです。以下の12名の著名人を全10回の講義で紹介しています。

<目次>

第1回 田中角栄ー今、見直される理由

第2回 江副浩正ー情報社会の開拓者

第3回 小泉純一郎ー断言する“変人”政治家

第4回 中内功-価格破壊の風雲児

第5回 渡邉恒雄ー読売帝国の支配者

第6回 堤清二ー詩人経営者の血脈

第7回 村上世彰と堀江貴文ー金儲け至上主義と国策捜査

第8回 石原慎太郎ー暴言と思いつきの長期都政

第9回 池田大作と創価学会ー政教分離と自公連立

第10回 上皇陛下と上皇后・美智子さまー象徴天皇としての試行錯誤

(楽天ブックスより)

この書籍のなかで池上さんは、それぞれの人物が持つポジティブな側面とネガティブな側面、双方にスポットライトをあてています。成功した人物が凋落していくさま。理想を掲げていた人物が金欲の前には無力になっていくさま。華やかにみえる中での苦悩。そのような人物描写が描かれており、人間という生き物のもつ多面性を理解することができる良書だと思います。

3) 結論
世の中、聖人君子と呼ばれるような歴史に名を残している人物が沢山いますが、100%「善」で寸分の闇も持たない人間なんてあり得ないと思っています。その逆もしかり。歴史に名を残すような残忍な行為をしてきた人間であっても100%「悪」ということでもないだろうと。人はそれぞれ幾ばくかの白と幾ばくかの黒を持ち合せている生き物で、善悪二元論が通用するような世界ではなく、濃淡のバラツキがあるグレーの集合体なのだなと思います。「多面性」というコトバのとおり、その人をある方向から見たら善であるけど、別の角度から見たら悪であったり、また別の角度から見たら善でも悪でもなく平凡な考えの持ち主であったりするであろうと考えています。
山崎豊子の作中にでてくる、壱岐正、恩地元、財前五郎、これらの方々の人物描写は、本当に圧巻です。決して善人でも悪人でもない。でもみんな骨太ですね。(これらの人物はフィクションですけど。)

■余談

先日、文春砲をくらった芸人さんだって、爽やか路線を突き進んでいただけにその反動もすさまじいようですが、最初から、酒やオンナに溺れていて、カネにもだらしないということが前提の昭和芸人のような売り方であれば、かえって、文春砲を一つ二つくらっても、へっちゃらだったかもしれませんね。🙏合掌🙏。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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